新型コロナウィルスの影響により、カナダでもほぼすべての学校がオンライン授業に切り替わりました。

聴覚障害者がオンライン授業を受けるとどんな感じなの?
今回は私が実際に受けているオンライン授業での情報保障についてまとめてみました。
情報保障とは:手話通訳やノートテイクなどを利用して授業を受けること。
オンライン授業の形式
オンラインでの遠隔授業には、ライブ型と映像型(録画)の2種類があります。私が通うカレッジでは、Blackboard という教育機関向けのツールを使った授業が多いです。
ライブ授業
ライブ授業は、通常授業と同じように時間割通りに生配信されます。ホワイトボードやパワーポイントなどの資料を映しながら行われる双方向型授業。
質疑応答では、生徒たちがチャットで質問や意見を述べ、先生が音声で回答します。
ライブ授業では、主に以下のツールが使われています。
- Blackboard Collaborate
- Zoom
映像授業
パワーポイントの映像と音声であらかじめ録画された授業。見逃したライブ授業も後からいつでも見れるようになっています。
課題として録画授業を見たあとに、ライブ授業で質疑応答という形をとるクラスもあります。
映像授業では、主に以下のツールが使われています。
- Blackboard Collaborate
- YouTube
- Vimeo
オンライン授業における情報保障
オンライン授業での情報保障は、手話通訳か PCノートテイク、または CC (クローズドキャプション) を選択することができます。
情報保障の詳細についてはこちらも合わせてどうぞ。
手話通訳(ASL)

以下のようなWeb会議ツールを使って、手話通訳者と一緒に授業に参加します。
- Skype
- Zoom
- Whereby
通常授業と同様に、1つのクラスに2人の通訳者がつき、15分ごとに交代で通訳してくれます。
ネット回線が遅いと画面が固まってしまうのが難点ですが、パワーポイントと通訳をPC上で同画面に配置できるので通常授業より疲れにくい気がします。
なお、オンライン授業でも、通訳と要約筆記を同時に依頼することができます。
PCノートテイク

通常授業と同様、 ノートテイカーが Google Docs の共有機能を使って授業内容を記録してくれます。
授業が終わった後にもノートを読み返せるのが最大のメリット。ネット回線が多少遅くても、ストレスなく利用できます。
ノートテイカーにとっても、対面授業と比べて講師の音声が聞き取りやすくタイピングしやすいようです。
クローズドキャプション (字幕)

オンライン授業の場合、CC (クローズドキャプション) を選択することもできます。
リアルタイムで映像に直接 CC を表示させるキャプション機能を使った方法で、生放送の字幕のようなイメージになります。字幕入力者 (captionar) は PCノートテイカー とは別のチームから派遣されます。
何度か試しにやってみたのですが、画面と字幕のズレにストレスを感じてしまいました。集中して素早く読まないとついていけなくなります (英語力の問題か笑) 。授業のスタイルによって向き不向きがあるかもしれません。
ただ、アクセシビリティの面では、全ての生徒に向けて平等に字幕を表示させることができるという意味で良い方法だと思います。音声トラブルとかありますしね。
- 字幕 :他言語に翻訳したもの。translation。
- CC :音声を転写したもの。transcription。
まとめ
トロントでロックダウンが始まって早くも2ヶ月が経過し、もう通常授業には戻れないぐらいオンライン授業に慣れてしまいました。朝起きてそのままパソコンに向かうだけの生活が楽ちんすぎる。
聴覚障害学生にとっても、画面に集中でき、目の移動が少なくて済むオンライン授業のほうがやりやすいと感じます。
しかしこれが半年、一年と長引くとやはり辛くなってくると思うので、早く通常の生活に戻ることを願うばかりです…!