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北海道出身、カナダ在住8年目。難聴。トロントでのワーホリと留学を経て、現在はカルガリーでひっそりと暮らしています。

カナダのDisability Tax Credit (DTC) とは?【海外の障がい者支援】

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杖を持った人や車椅子の人、それをサポートする人たちのイラスト

せっかくカナダにいるなら、使える制度は最大限活用したいですよね。

カナダには障がい者向け制度のひとつとして、DTC(Disability Tax Credit)があります。これは単なる免税だけでなく、さまざまな支援プログラムへの入口となる認定制度。

私も永住権取得を機に申請してみたところ、承認までに約3ヶ月かかりました。遠回りした分、学びも多かった申請の流れをまとめました。

「カナダにも障害者手帳のような制度はあるの?」「申請方法は?」

カナダに住む当事者やご家族の方の参考になればと思います。

目次

DTCとは?障害者手帳との違い

Disability Tax Credit(DTC)は「障害者税額控除」と訳されますが、実際は障害があることを証明する認定のような位置づけです。

日本の障害者手帳(特に1〜2級)に相当する制度と考えると分かりやすいかもしれません。まずは基本を整理してみましょう。

DTCでできること

DTCが承認されると、さまざまな支援や税制上の優遇措置を受けることができます。

  • 年間の税額控除(最大約9,000ドル)
  • RDSP(障害者貯蓄プラン)の開設
  • 各種政府プログラムへのアクセス

日本の障害者手帳との違い

日本の障害者手帳や療育手帳と似ていますが、カナダではあくまでも社会保障番号(SIN)に紐づくステータスのような扱いです。主な違いはこちら。

項目日本カナダ
形状手帳(証明書)オンライン(CRAアカウント)
主な用途福祉サービス中心税務制度中心
発行・認定機関都道府県CRA(カナダ国税庁)

なお、DTCは、各州の障害者向けプログラムの受給資格とは無関係です。

障害の程度や種類によって手帳に違いがあるのと同様に、DTCの認定基準にも違いがあります。詳細は、政府の公式サイトをご確認ください。

申請方法と流れ

 DTCを申請するには、医療専門家(Medical practitioner)に「重度かつ長期的な身体または精神機能の障害」を証明してもらう必要があります。

申請自体はシンプル。2ステップで完了します。

STEP
オンライン事前申請

CRAサイトで申請し、リファレンス番号を取得

STEP
医師による診断書作成

医師が Form T2201(障害者控除証明書)を記入し、CRAへ郵送

なお、永住権なしでも申請できます。留学生やワーホリでも、カナダで納税義務がある人なら申請可能です。

参考:Disability tax credit (DTC) ‐ Canada.ca

カルガリーでの申請

実際に申請してみると「医師を見つける」のが一番のハードルでした。

基本的にカナダでは、専門医へのアクセスにはファミリードクター(かかりつけ医)の紹介状が必要になります。私の場合、ファミリードクターもおらず難航。

聴覚障害の場合は、Audiologist(聴覚訓練士)も認定医として指定されています。しかし、カルガリーの多くの Audiologist が「DTC申請業務は行っていない」とのこと。

そこで、アルバータ州の聴覚障害支援団体である Deaf & Hear Alberta(DHA)に相談したところ、以下のような回答がきました。

「既存の診断書があれば、ウォークインクリニックでも対応してくれるはず」

ウォークインクリニックに相談するという発想はなかった!私の中では「ウォークインクリニックは事務作業はしてくれないだろう」という思い込みがありました。

ウォークインクリニックとは:
予約なしで受診可能なクリニック。かかりつけ医がいなくても診てもらえます。

実際の申請プロセス

早速近所のウォークインクリニックに相談。日本から持参した医師からの英文紹介状のおかげで、申請書記入はスムーズに完了。

運良くファミリードクターの登録もできてラッキーでした。

日付できごと
2月1日オンライン事前申請
2月19日クリニックで申請
2月27日CRAに書類到着
4月23日承認通知
4月30日還付金入金

DTCが承認されると、過去の税金も自動で再計算されます。私の場合はワーホリ時代の分も合わせて7年分の税金が還付され、思わぬ臨時収入に!

なお、クリニックで払う申請費用(148ドル)は医療費控除の対象になります。

地域による違い(トロントの場合)

トロント在住の聴覚障がい者の場合は、ひとまず CHS(Canadian Hearing Services) に相談してみましょう。

CHS では、Audiologist が直接DTC申請に対応してくれます。州の医療保険(OHIP)に加入していない留学生でも、聴力検査や各種証明書の発行、通訳派遣など柔軟に対応してくれます。(私も留学時代はお世話になりました)

他の障害の場合も、お住まいの州や地域で支援機関や団体が見つかるはずです。カナダは社会保障サービスが充実しています。

まとめ

カナダに住む障がい者の方、日本で障害者手帳を持っていた方にとって、DTCは申請する価値のある制度。

まずは地域の支援団体やサポート機関に相談することから始めてみてください。

もしファミリードクターがいなくても、診断書があるとなにかとスムーズです。移住予定の方はあらかじめ用意しておきましょう。

この記事が少しでも誰かのお役に立てたらうれしいです。

本記事は、あくまでも個人的な経験をもとにまとめたものです。DTCの詳細や最新情報については、政府公式サイトをご確認ください。

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