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北海道出身、カナダ在住8年目。難聴。トロントでのワーホリと留学を経て、現在はカルガリーでひっそりと暮らしています。

駆除しないで森へ返す?カナダのクマ被害と対策【ほん怖な森のくまさん】

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森の小道に座るテディベア

2025年8月、北海道・羅臼岳で起きた痛ましいヒグマ襲撃事故。

同じ頃、カルガリー近郊のカナナスキスでは全域に熊注意報が発令されました。

北海道出身カルガリー在住の身として、日本とカナダの報道から「クマ対策」に対する意識の違いを感じます。

日本では「駆除」が目立つ一方、カナダでは「警告と予防」が徹底されています。

この記事では、カナダのクマ事情と文化・意識の違いについてわかりやすくまとめてみました。

カナダのクマってどうなの?」そんな疑問にお答えします。

目次

カナダのクマの種類

カナダに生息する主なクマは、ブラックベアとグリズリーベア、そしてホッキョクグマ。

北米の熊による歴代死亡事故一覧 (Wikipedia) には、多くがブラックベアとグリズリーベアによるものと記録されています。

ブラックベア (Black bear)

森の中で草を食べる親子の黒いクマ3頭
  • 生息地:北米全域に広く生息。アメリカグマとも呼ばれる。
  • 体格:平均100〜200kg

日本のツキノワグマより大きく、ヒグマよりは小さい。キャンプ場や住宅街に出没することが多いです。

グリズリーベア (Grizzly bear)

森の中を歩くグリズリーベアの親子
  • 生息地:カナダ西部を中心に分布。ハイイログマとも呼ばれる。
  • 体格:平均200〜300kg。最大で500kgを超えることも

巨大で俊敏(時速56km)、さらに泳ぎも得意。北海道のヒグマと同じ系統です。

つい最近、カナナスキスで撮影されたグリズリーの動画 (15秒) がとっても怖いので観てみてください。

ホッキョクグマ (Polar bear)

雪原に立つ白クマの親子
  • 生息地:カナダ北部を中心に分布。
  • 体格:平均350〜600kg。立ち上がると3mになる個体も

数は多くないものの、ホッキョクグマによる死亡事故も各地で起きています。

カナダは駆除より共存

山と駐車場、頑丈なゴミ箱
多くのハイキングコース・登山口には、熊対策の頑丈なゴミ箱が設置されています

日本では出没したら「駆除」しますが、カナダではまず「森へ戻す」対応が基本。

駆除や殺処分といった対応はあくまでも最終手段です。

国立公園の熊に関する情報 – Parks Canada (英語)

原則は「森へ戻す」

カナダでもクマが街やキャンプ場に現れることは日常茶飯事。カルガリーでもしょっちゅうニュースになります。

しかし、出没しただけで即座に駆除されることはほぼありません。

専門の野生動物管理官(Conservation Officer)が出動し、麻酔銃で眠らせて山奥へ移送します。

実際の例

2025年7月、カナダのBC州で男性がグリズリーベアに襲われ重傷を負うというニュースがありました。

専門家の調査によりこの事故はクマの「防衛本能によるもの」と判断され、特に捕獲や殺処分はしないとのこと。

共存できない個体は駆除

一方で、人を襲って負傷・死亡事故を起こしたクマは「人と共存できない」と判断され、最終的に駆除されることもあります。

理由は明確で、「ニンゲンは餌」と学習したクマは再び同じ行動を取る可能性が非常に高いからです。

Bear Smart Program

カナダでは州や自治体ごとに「Bear Smart Program」という取り組みが行われています。

クマについて学び、ごみの管理やベアスプレー携帯などを徹底する予防教育プログラム。生命と安全を最優先に考えつつ、クマと人が共に生きる社会を目指します。

人間側の環境を整え、クマを寄せつけない仕組みを徹底し、「共存」を目指します。

実際にこのプログラムを導入した地域では、クマ出没件数や駆除件数が大幅に減ったと報告されているそうです。

日本 (知床) の場合

日本では、熊が出没したら「危険」とみなし駆除します。事故防止のため「数を減らす」方針。

しかし実は日本も各地で長年「共存・共生」を目指して対策を続けてきました。

特に知床は、電気柵の設置や観光客への啓発活動など、全国的にも先進的な取り組みを行っています。

しかし近年はさまざまな問題が重なり、結果として駆除せざるを得ないケースが増えました。

その背景には「人慣れしたクマ」と「観光客のマナー違反」があります。

「共存」の理想が現実に追いつかなくなってきたんですね。

カナダのクマ襲撃事件

カナダで記憶に新しい死亡事故は、2023年10月にバンフ国立公園で起きたグリズリーベアによる襲撃事件。

被害者はカップル2名と、同行していた犬1匹。入念に対策していたとされる経験豊富なハイカーが犠牲になったことがさらに衝撃を与えました。

現場に到着した救助隊にも襲いかかったクマは、その場ですぐに殺処分されたとのこと。

クマは推定25歳以上の高齢で、歯の状態も悪く痩せていたと報告されています。それでもなお、2名と1匹の命を奪うほどの体力があったということ。恐ろしい。

ちなみに彼らがSOS発信に使っていた衛星通信機はガーミンのinReach。どんなものか調べてみました。

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世界中どこでも圏外エリアでもメッセージを送受信できるデバイス。いかに意識の高い人たちだったかがうかがえますね…。

日米のクマ襲撃事件

日本で最も知られているクマ事件といえば、1915年に北海道で起きた三毛別羆事件。日本史上最悪の獣害事件です。

概要だけでもおぞましいので興味のある方は Wikipedia をどうぞ。

この事件を元にしたノンフィクション小説の「羆嵐」もおすすめ…するのも気が引けるくらい怖いです。

著:吉村昭
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漫画バージョンもあります。

著:戸川幸夫, イラスト:矢口高雄
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個人的には、小説のほうが情景がリアルに忠実に描かれているのでおすすめ。

一方、北米で代表的なのが1967年にグレーシャー国立公園で起きた 「グリズリーの夜」事件。この悲劇をきっかけに、北米ではキャンプ場などでのクマ対策・予防文化が浸透していきました。

洋書ですがノンフィクション小説もあります。タイトルだけでもう怖い。

著:Olsen, Jack
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両事件に共通するのは、「人間の食べ物に慣れたクマ」が引き金となった という点。三毛別では家畜や農作物、北米ではキャンプ場の残飯やゴミが原因でした。

日米で違う童謡「森のくまさん」

誰もが口ずさんだことのある童謡、森のくまさん。

「ある日森の中♪」から始まり「お逃げなさい♪」とやさしく警告するクマと一緒に踊りだす女の子。

熊の怖さが伝わりそうで伝わらない、なんともシュールな歌です。

しかし、この歌の原曲「The Other Day I Met a Bear」は内容がまったく違います。

森でクマに出会い、追いかけられ、必死に逃げる、というストーリー。

「熊はオトモダチなんかじゃないぞ、出会ったら終わりだぞ」というリアルな教訓が込められています。

日本語バージョンは、この原曲を無理やりマイルドにしようとしてちぐはぐになっちゃったのでしょうか。それともあえてそうしたのでしょうか…

子供の頃に感じた「お逃げなさい♪」の違和感、これで納得 (?) です。

まとめ

カナダと日本で向き合い方に違いはあるものの、「クマは危険」という認識は共通しています。

共存を目指しても現実は厳しいんでしょうね。

特にハイキングが好きな方は、熊に出会ったときのイメトレをしつつ、知識と備えでリスクを減らしましょう…

ベアスプレーは必須です。

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カナダでは、熊よけスプレー(ベアスプレー)の携帯は合法ですが、一部の都市では購入時に身分証明書の提示と同意書への署名が必要です。

ということで、自然をリスペクトしたくてもやっぱり熊は怖い、というお話でした。

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