【難聴】カナダ留学で利用できる4つの情報保障【ろう】

留学・勉強

聴覚障害学生にとって一番気になるのが、通訳やノートテイクなどの情報保障。

カナダでの情報保障はどんな感じなんだろう?

どこに問い合わせればいいの?

特に海外留学の場合、人脈が少ないため情報がなかなか手に入りにくいですよね。

幸い、私の場合は留学前のワーホリで出会った現地の友人から情報を得ていたため、あまり不安なく留学を決めることができました。

今回は、難聴の私がカナダ留学で実際に受けている情報保障についてまとめています。

情報保障とは

情報保障とは、視覚障害者や聴覚障害者など、情報が十分に得られない人に対して「情報を保障すること」です。

聴覚障害者に対しては、主に、手話通訳やノートテイク、音声認識ソフト等の支援サービスがあります。

情報保障の種類

情報保障の内容はクラスごとに選択でき、途中変更も可能。‪セメスター(学期)が始まる前に履修登録をするのと同時に依頼します。

情報保障を希望するすべての人に担当カウンセラーがつき、いつでも相談しやすい環境が整っています。聴覚障害だけでなく、ADHDや学習障害など、一人一人に合わせたサービスが提供されます。

PCノートテイク

PCノートテイク(Computerized Notetaking Service)は、講師が話す内容や生徒からの質問など、全ての音声情報をパソコンで詳細に記録してくれるサービス。

ただし、ノートテイカーは黒板に書かれた内容を写すことはしないため、必要に応じて学生が自分でノートを取ります。

ノートテイクには Google Docs の共有機能を使います。これでノートテイカーと席が離れていても、リアルタイムで自分のPCにノートの内容が表示されます。

Google Docs にはチャット機能があるので授業中にノートテイカーとやりとりをしながら質問や要望を出すこともできて便利。

2時間のクラスに1人、3時間のクラスには2人のノートテイカーが付きます。2人体制の場合、15〜30分おきに入力担当と修正担当が交代で変わります。

授業が終わった後、24時間以内に整形されたノートがメールで送られてきます。復習が欠かせない留学生には特にありがたいサービス。

なお、このサービスはトロント内の5大カレッジ間で共通のルールがあり、体系化されています。そのため、ノートのフォーマットが整っており読みやすくなっています。

手話通訳

ASL (American Sign Language) による手話通訳。大学専属の通訳者もいれば、州や市から派遣される通訳者もいます。

1つのクラスに2人の通訳がつき、15分ごとに交代で通訳してくれます。これは日本と同じですね。

また、通訳する前に、以下のような内容を確認してくれます。

  • ASLの習熟度
  • 英語の文法に沿ったほうがいいか(ASLと英語は文法が違うため)
  • 黒板やPPT(パワーポイント)による文字情報の通訳は必要か

ここまで細かい配慮は日本では経験したことがなかったので違いを感じました。移民や留学生が多い環境ならではの配慮ですね。

授業中に通訳者と雑談できるのも手話ならでは笑。カナダのろう事情などを教えてもらっています。

要約筆記

手話通訳を依頼する場合、Peer Notetaking(要約筆記)を合わせて希望することができます。

これは学生が通訳の読み取りに集中するために、代わりに授業の要約と黒板の内容をノートにまとめてくれるサービス。‬

個人的な感想ですが、ノートテイカーによってやり方や技術にばらつきがあるのが難点。手書き文字が読みにくかったり(むしろ読めません笑)、黒板の写真を撮るだけのノートテイカーもいます。

単にクラスメイト (Peer) のノートを見せてもらっていると思えば割り切れるのかもしれません。

試験時間の延長

障害などの理由により文章を読むのが困難な人向けの支援サービス。

テストセンターという通常とは別の建物で時間を1時間ほど延長して受けることができます。特別な事情でテストの日程を変更した人もこのテストセンターで受けています。

聴覚障害者の場合、希望すれば、手話通訳者に個室で試験問題を読んでもらうこともできるそうです。

テスト前になると、教授が Accommodation としてこの試験時間延長について毎回説明しているので、認知度が高いサービスなんだなと思います。

私が利用している情報保障

私の場合、一般科目は 手話通訳、専門科目はPCノートテイクを選択しています。両方選択することはできません。

ASL が流暢でなくても、今までの知識や経験からコンテクスト(文脈)を補うことができると考えたため、一般科目には手話通訳を選択しました。これは大人留学ならではの強み!ASL も勉強できて一石二鳥です。

一方、専門科目は未知の単語や専門用語が多く登場するため、英語でしっかり学びたいと考え、PCノートテイクを選択しました。テスト前にノートを読み返して復習することもできるので便利です。

問い合わせ先

カナダではどの学校でも障害学生を支援するサービスがあります。

学校名と「Accessibility Service」等のキーワードで検索することで、問い合わせ先を見つけることができます。学校によってはホームページに細かく情報が載っているところもあります。

また、留学生の場合、学校内の留学生支援センター経由で問い合わせた方がスムーズな場合もあります。

聴覚障害学生が留学する際は、障害者手帳の代わりに、オージオグラム (聴力検査結果) と医師の診断書を英語版で用意しておくと何かと便利です。情報保障や試験でのリスニング免除を依頼するときなどに使います。

まとめ

今回は私が通うトロントの公立カレッジで受けている情報保障についてまとめました。他の公立カレッジでもほとんど同じシステムになっていますが、私立だとまた少し違うかもしれません。

誰でも平等に教育を受ける権利があるという当たり前のことをカナダに来てから更に実感しています。

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